仕事をしていると、さまざまな出会いがあります。まったく新しい人とのお取引や交流が始まることもあれば、長らくお付き合いのあった人との関わりが終了する、ということもあります。最後は「出会いと別れ」について考えてみたいと思います。
「出迎え三歩、見送り七歩」という言葉があります。お出迎えするときは、三歩前に出てお迎えするそして見送るときは七歩追い、お見送りするという意味です。
先日、あるお蕎麦屋さんに行ったときのこと。評判のよいお蕎麦屋さんで、お蕎麦のセットを頂きました。食べ終わったあとのこと、店主が地元のよいところを熱心にお話してくれたり、店を出る際も、こちらの姿が見えなくなるまで店主が店を出て送ってくれたりと、舌で感じる味わいだけでなく心に刻まれるような記憶に残るお店でした。
食べて終わりではなく、食べたあとまで楽しませてくれたところが、まさに「見送り七歩」だと感銘を受けました。ご縁があった人への感謝を込めて、去って行くときは、名残惜しさを込めてお見送りする。こうした姿勢は、仕事面でも人生面でも大切なことではないでしょうか。そんなふうに考えると、これから出会う人だけではなく、去っていく人も大切にしなければと思っています。
光製作所には、以前から「売って終わりでは、ダメ」という文化が根づいています。ものを作って売ったらあとはもう知らない、ではなく、売ったあとも作ったあとにも責任を負うという姿勢が、会社に染み付いています。
私たちが作っているものは、基本的には消耗部品ではありません。設備や機械の根幹を成す重点部品です。基本的に「壊れてはならない部位」です。だからこそ、作りっぱなしではいけない、売りっぱなしではいけないと思っています。万が一、不具合が起きれば、まず謝罪に伺い、間違いがないか総点検をする。もう一度しっかりとしたものを作り直す。その姿勢だけはなくしたくないと思っています。
これからも「見送り七歩」の気持ちで、作ったものはもちろん、ご縁のあった方々をずっと気にかけられる経営者であり、会社でありたいとそう願って、楽しみながら、何かに打ち込んだり、取り組んだりするコトが命をかける時間であり、人生を大切にし、幸せを創るのだと考えます。
人は一生のうちで、何人の人と出会うのでしょうか。数えてみると、膨大な数字になると思います。
私もこれまで、たくさんの人とご縁をいただいてきました。光製作所の求人に応募してくれて、いまここで働いてくれている社員やスタッフの皆さんとも、出会いがあったからこそ、同じ会社で仕事をすることができています。そして、出会いは、別れがあるから生まれます。ずっと同じ人といるだけでは、出会いのご縁はやってきません。
出会いと別れの繰り返しの中で思うのは、みんな命をかけて生きている、ということです。大げさな言い方かもしれませんが、何かに取り組んでいること自体、命をかけていることになると思います。
ものづくりに命をかけている人、コミュニケーションに命をかけている人。命をかける対象はさまざまですが、誰もが自分がやりたいこと、やるべきこと、大切にしていることに対して命がけで進むことが、本気で人生を楽しむことになると思っています。
これまでのコラムを通じてお話できた様々なコトが、幸せを創ることにつながりますように。
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