光製作所が創業したのは1935年。昭和10年です。そして、私が三代目の代表として社⻑業を継いだのは、2017年のこと。
社⻑になって5年、このタイミングで、企業理念を見直しました。
光製作所がめざすところやその方向性を、改めてみなさんと共有したかったからです
なぜ、企業理念を見直したのか。その想いをお伝えします。
26歳のとき、私は光製作所に入社しました。他社で数年間ほど勉強したあと、家業の光製作所を継ぐつもりで戻り、一般社員として入社しました。
当時の社⻑は父。病気がちだったため、入社3年ほどたったとき、私は常務という役職に就き、経営の表舞台に立つようになりました。
でも、そのときはまだ父がトップでした。「何かあったら、おれが責任をとる」。父の口癖でした。
おかげで、いろいろなことにチャレンジでき、社員のみなさんと現場で汗をかきながら、リーマンショックなどの時代の荒波を乗り越えることができました。
父からバトンを受け継ぎ、光製作所の社⻑になったとき、私は、何か背中に大きな荷物を背負ったような気持ちになりました。
「おれが責任をとる」と言ってくれていた父は、もういない。これからは、自分が最後の砦となってすべての責任を負う。
そう考えたとき、重圧を感じる一方で、「自分が光製作所をどうしたいか、きちんと社員のみなさんに伝えたい」と思うようになりました。
光製作所には、先代社⻑が考えた「買う人の身になって制作しよう」という社訓があります。
作り手の理屈を通すのではなく、買ってくれる人の立場に立ってものづくりをしようという姿勢です。
これは、今後もずっと変わらない、光製作所のものづくりの精神だと思っています。
しかし、精神は変わらなくても、時代の流れの中で、社会の制度や環境は変わっていきます。その変化の中にいると、「何のために仕事をしているんだろう...」と、自分たちの存在意義を見失うことがあります。
そんなとき、もう一度原点に戻ることができ、自分たちの価値を再認識できる考え方。それが企業理念だと思います。
普段の仕事のとき、大きなプロジェクトにチャレンジするとき、「理念がこうだから、こういう動きをとろう」と思えるもの。社員のみなさんが何かを決めるとき、その軸となるもの。
それを確立したかったのです。
新しい企業理念は、『「コト」から始めて「幸せナンバーワン」を創る。』です。
私達が本当につくっているものは、「モノ」というよりもむしろ、それを生み出すしくみ、取り組み、ルーツといった「コト」。
そして、それらを生み出すのは、ほかでもない「人」。つまり社員のみなさんです。
人が関わり合い、つながることで、さまざまな創造力が生まれます。
それだけではありません。楽しさや喜びといった「幸せ」が紡がれます。人が幸せになり、社会の幸せへと結びつけていく「幸せナンバーワン企業」へと光製作所を導く。これが自分の使命だということに、思い至ったのです。
光製作所には、創業当初から「人を思いやる」という文化があります。
誰かが会社を辞めると言ったら、「次の会社決まっとるんか?ちゃんとやれそうか?」と、業務に穴が空くことよりむしろ、その人の先行きを気にかけます。
正直に言うと、私は1人でいることのほうが好きです。ずっと家にいたいと思うこともあります。
それでも、人と関わることをやめないのは、人が成⻑する姿を見ていたいからです。売上や利益は大事ですが、関わりの中で人が成⻑していく様子を目の当たりにできるのが、経営者としての一番のやりがいであり醍醐味です。
光製作所にいる全員が、何かのご縁で集まってきた人たちです。会社とは、一つのコミュニティ。だからこそ、人の想いを傾聴し、共有し、共感する。
そして、その人がその人らしく成⻑する「幸せナンバーワン企業」であり続けることが、光製作所の理想の姿です。
社員、求職者、そしてお取引先企業にもご覧いただける社内報です。
Copyright(C) HIKARI. ltd.All Rights Reserved.